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このごろの読書

 雨ばかり降り続いて、どこにも出かけられず、家の中でくすぶっている。屋内にばかりこもっていると少しストレスが溜まる感じがする。

 受験生に英語を教える仕事では、夏休み明けごろから大学の過去問を演習するのが主になって、赤本を予習しなければならないのだけれど、赤本の無選別の問題には悪問もたくさんあるのでどうしてもやる気になれないものもあり、英語にはいささか食傷気味。大学入試の英語長文問題は雑学的なものが多くて面白いものも多いけれど、ネットから適当に引っ張ってきて適当にこしらえたような内容空疎な長文問題も増えている。国語と違い外国語がまとまって載っているとそれだけで何か大層なもののように見えるのがいけないのだろう。昔はよくあった名著からの引用のようなものはほとんどなくなった。出題される英文は非常に平易化しているが、長くなっている。悪問を長々と読まされるのは疲れてしまう。

 洋書は「Flash Fiction: 72 Very Short Stories」という一編2~4ページくらいのごく短い短編小説を集めたものと、サローヤンの「Boys and Girls Together」、そしてずっと前から中断しながら読んでるシャフラーネクの「Bohuslav Martinu - The Man and His Music」の三冊を平行しているが、「Flash Fiction」は冒頭のスペンサー・ホルストの「Brilliant silence」が良かったので期待したものの、ほとんど面白くない。ごく短い小説は概して日本人作家のほうがうまいようだ。もう一冊のサローヤンは正直言ってくだらない。若い妻に飽き飽きした博打好きの中年作家の日常生活を描いている。半分以上読んでしまったので読了するつもりだが、このまま最後までこの調子だったらガッカリである。サローヤンってこんな作家だったっけ。昔、けっこう楽しんだ記憶があるが・・生前人気があって没後急速に忘れられた作家だが、これじゃそれも仕方がないなという感じではある。

 そんなこんなで、シャフラーネクの「Bohuslav Martinu」が相対的に面白くなってはかどっている。第二次世界大戦が勃発して、アメリカに散々苦労して避難したマルティヌーが、交響曲やヴァイオリン協奏曲などの大作を次々と完成していくというところで、この本のクライマックスといえる部分なのでそれは面白いのだが、問題はこの本、作曲家の生前に書かれた本なので、伝記としてはまったく、不完全なのだ。この本で言及されているのは交響曲第三番あたりまでじゃないだろうか。その後が面白いところなのに・・
 マルティヌーは好きな作曲家で、周期的にたまらなく聴きたくなる時期がやってくる。人気があるとはとても思えないのだが「音楽家のための音楽家」のような存在らしく音源は豊富にあるので聴くには困ることはない。ただいかんせん日本語で読める資料が少ない。一冊丸々マルティヌーを扱った本はないのではないだろうか。なのでこれを訳そうかと思ったのだけれど、これでは未完で片手落ちだし、伝記としても楽曲解説としてもやや中途半端な感じのする本なのだった。
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トーベ・ヤンソンの"The Summer Book"を読了

 トーベ・ヤンソンの"The Summer Book"を読了。今年は洋書、これでようやく10冊。

 ムーミンで知られるヤンソンだけど大人向けの小説も書いていて、これはその一冊。もっとも邦訳の『少女ソフィアの夏』は図書館などでは児童書扱いのようではあるが。
 私は『ムーミン』のシリーズも大好きだったし前に読んだ普通小説"The True Deceiver"(邦訳の題は『誠実な詐欺師』とあるが、内容からしても『ほんとうの嘘つき』のほうがいいんじゃないの? と思う。まあ英訳を読んでいるので原題のことは分からないけど)がとても面白かったので、苦手な短編集だったけど読んでみた。英語で短編を読むのは長編よりしんどいことが多い。文章や構成が凝っているから。
 この作品は、フィンランドの小島を舞台に6歳の少女ソフィアと70代のお祖母さんとの交流を淡々と綴ったもの。筋の起伏があまりなく、会話も少なく、繊細な情景描写が多いので読むのにはかなり時間がかかってしまった。短編連作なので、すぐに入り込めて楽しめたものと、よく分からないもの、ほとんど理解できた気がしなかったものまであった。
 トーベ・ヤンソンの登場人物って、ムーミン谷の方々をはじめ、ものの考え方が一般的日本人にはちょっと追いきれない思考回路を持つ人が多いような気がする。会話が、かみ合っているのか、ないのか、こちらで理解できているのか、ないのか、よく分からなくなることがよくあった。
 特に"The Visitor"、前半でお祖母さんが元気をなくしてしまってソフィアと仲違いする経緯も、後半での旧友との会話も、ほとんど理解できなかった。
 今度、図書館で訳本を借りて確認してみようと思う。

 というわけで、これは、散文詩のような、美しい、でも難しい本でした。

 次は、いろんな作家の非常に短い短編のアンソロジー"Flash Fiction: 72 Very Short Stories"を一日一篇ずつ読んでいく傍ら、何か長編を読もうと思っていた。というのも、いつも一冊読んだ後は次を見つけるのに時間がかかり、読みかけては中断し、次を物色してはまたやめ・・ということが多いから。
 先日ジョン・スコルジーの『老人と宇宙』シリーズを2冊読んだので3冊目に入るか、同作者のスター・トレックのパロディみたいなやつを読むか・・と思っていたところ、ふと読みかけたウィリアム・サローヤンの"Boys and Girls Together"という小説がけっこう面白く読めるので、もしかしたらすんなりこれを読み進めることになるかもしれない。
 しかもこれは未訳のようなので、面白ければ訳してみようかとも思ったりしている。

 とはいえ翻訳はもちろん、組版も、装丁も仕上がっているアンジェラ・カーター『英雄たちと悪漢たち』も放置したままだし、シャフラーネクの『ボフスラフ・マルティヌー』も訳そうと思いながら途中で打っちゃったままである。
 今年はいろいろ、サボったままハゼ釣りばかりしている・・
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