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ステープルドン『シリウス』を読了

 オラフ・ステープルドンのSF小説『シリウス』を読了。なかなかはかどらず、40日もかかってしまったよ。
 ある科学者の実験によって生まれた、人間と同等の知性を持つ犬シリウスの話。ほぼ同時期に生まれた科学者の娘プラクシーと兄妹のようにして一緒に育てられることから、プラクシーとの愛憎半ばした強い繋がりを主軸に、人間社会との相克や観察、さまざまな経験を描いていく。
 前にも書いたけどこれが猫なら人間様を餌をくれる都合のいい相手くらいにみなして皮肉な目で観察する、超然としてのどかなお話になりそうなものだけど、これが犬だと人間社会になんとか溶け込もうとあがいて果たせない、愛憎の振幅も大きくて、まったく疲れる話になってしまう。
 おれは犬とほとんど接した経験がないので、あまりぴんとこなかったけど、犬好きの人の琴線に触れる描写も多いのかもね。最後のほうなど、犬的な行動の描写を猛烈に力を入れて描いている。犬を飼っていた人は泣いてしまうかもしれないね。
 変な点もかなり目に付いたよ。まず、西欧人的だなぁ~と感じてしまったのは、愛情や信頼を、言葉にして発さないと相手を信頼できないところ。これは人間のなかでも西欧人的なのだから、犬がこうなるのはおかしいと思ってしまったよ。相手の感情を嗅覚で察知できるという描写があるのだから、この上言葉にばかり頼って愛と是認の言葉を求めるのは犬としておかしいんじゃないの。
 あと、最後のほうはキリスト教徒の狂った一面が生々しく描写されていて気持ちが悪くなるよ。このあたりは「知性を持った犬」という設定よりも現実味に欠ける気がしたんだけど、魔女狩りとか、こういう集団心理って向こうにはよくあることなのかね。
 というか、最後のほうは動物小説というより、人種問題を扱った小説みたいだったね。黒犬って何かの暗喩なんじゃないかと思ったよ。ルイス・サッカーの『穴』にもこういうの、あったよ。
 最後の場面はなんともいえなかった。増村保造監督梶芽衣子主演の『曽根崎心中』を思い出してしまったよ。
 教訓としては「馬鹿者をバカにして甘くみると手ひどいしっぺ返しを食うから気をつけろ」ってことかな。
 とはいえけっこうよかったよ。星四つだね。

 さて次は何を読もうかな・・
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